2012年5月19日 (土)

アミダサマ / 沼田まほかる

アミダサマ

作者:沼田 まほかる
価格:619円
出版社: 新潮文庫 (2011/11)

「純粋無垢」な者の持つ、「美しさ」と「残酷」。腐臭を発しているが、抱きしめたくなるような美しい遺体。暴力でしか表せない愛情。まったく相反しているような生と死も、実はつながっている「輪廻」の世界。この本は、矛盾であるようなことが、同居している現実世界を切り取っているように思う。感動的な場面など無いのに、心が震えた。まだ、2冊しか読んでいないが、「沼田まほかる」には、(やったことないけど)”麻薬”のような魅力があると思う。昔見た、ATG映画や日活ロマンポルノを思い出した。

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2012年5月13日 (日)

三月のライオン(7) / 羽海野チカ

三月のライオン(7)

作者:羽海野チカ
価格:510円
出版社: ジェッツコミックス(白泉社) (2012/03)

「勇気の第7巻」(帯より)。前の巻から、将棋コミックというより、青春コミックになってきた。学校で”ハブ”されている友達をかばったら自分が”ハブ”されるようになった川本家の次女・ヒナのいじめ問題がこの巻の中心。途中から登場する、国分先生の正論が心地よい。ただ、現実では、PTAの問題、教育委員会の問題、学校の面子などこうすっきりと行かないところが問題なのだろうと思う。次の巻から、桐山と宗谷の将棋での熱い戦いが始まる予感。楽しみである。

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2012年5月 3日 (木)

幽談 / 京極夏彦

幽談

作者:京極 夏彦
価格:620円
出版社: MF文庫ダ・ヴィンチ (2012/02)

収録作:手首を拾う / ともだち / 下の人 / 成人 / 逃げよう / 十万年 / 知らないこと / こわいもの

妻と離別した私は記憶を辿りながら、七年前と同じように汽船に乗って浜辺を歩き、侘しい岬に建つ一軒宿を訪れる。以前、私は妻とともに庭の見える部屋に泊った。そして、月光が満ちた旅館の庭で艶かしい女の手首を拾ったのだ。「手首を拾う」怪談よりも怪しく、奇談よりも奇妙な幽き物語たち。端正な美しさと不気味さが入り交じった京極小説の別天地がここにある。

実話、創作怪談とホラーには違いがある。京極さんは、その違いを意識しながらこの怪談集を書いたと思う。「これから記す事実は実話ではない」から始まる”成人”。何が人にとって怖いのかを論じる”こわいもの”。そして、実話怪談を模している”下の人”。どれも印象に残っているが、頭の後ろを見ることができる僕と、幽霊が見えてしまう彼女との奇妙などこか哀しい関係を描いた”十万年”が最も印象に残った。「もしライオンが言葉を話したとしても、われわれはライオンの言うことがわからない」ウィトゲンシュタインの言葉を思い出した。

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2012年4月23日 (月)

花のズボラ飯(2) / 水沢 悦子・久住 昌之

花のズボラ飯(2)

原作:久住 昌之
作画:水沢 悦子
価格:9450円
出版社: 秋田書店 (2012/03)

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おまたせしました 待望の第2巻!
このマンガがすごい!2012 オンナ編第1位!マンガ大賞2011 第4位!
数々のメディアで紹介され、全国で話題沸騰のコミックス第2巻!
『孤独のグルメ』の久住昌之が自らの新境地と語る、ひとりのズボラ主婦・花(はな)の人生を描き出したグルメ・ショート。読後、まさかの感動があなたをおそいます!花と一緒に笑って、泣いて、お腹をすかせてください!

1巻の感想に「最高の調味料は空腹」とあったが、もうひとつあった。「最高の調味料は愛情(と"女の友情")」。たぶん、「男の友情」も調味料になるのだろうが、「女の友情」より、かなり限定されるだろう。
1巻より、”エロ”パワーは大人しい。きっと、数々のメディアに紹介されたからだろう・・・と思ったら、表紙の裏カバーにびっくり!やってくれてます。

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2012年4月19日 (木)

Another / 綾辻行人

Another

作者:綾辻 行人
価格:700円(上・下)
出版社: 角川文庫 (2011/11)

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綾辻さんの本は、ベースには本格推理があるにしても、ホラー的な味付けが強い。これが、ジョン・ディクスン・カーだと、怪奇趣味は強くても、最後はちゃんと"本格物のルール"を守って着地してくれるが、綾辻さんの場合は、"本格物のルール"を堂々と破る。そういえば、「館シリーズ」だって、普通なら「秘密の通路があるはずだ!」と、なるところを、「秘密の通路はあります!」と、はじめから断言している。"本格推理"から、一歩逸脱しているところが、綾辻作品の魅力かもしれない。

その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。1998年、春。夜見山北中学に転校してきた榊原恒一(15歳)は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい、何が起こっているのか?秘密を探るべく動きはじめた恒一を、さらなる謎と恐怖が待ち受ける…。

今回は、"呪い"がテーマである。普通は、「本当に"呪い"はあるのだろうか」というところに、話が進み、「もしかしたらこの事件は大いなるトリックで、犯人がいるかもしれない」という、方向に進むところだろう。でも、この本は、「呪い」については、一切、気にしていない。「"呪い"は歴然と何の疑問もなく存在し、主人公たちはその"呪い"をとめる方法を探る」という、話になってくる。まるで、「リング」だね。それでいて、最後には、あっと驚く"本格物的な"結末が待っている。"本格物的"とは、この結末のために、あらゆるところに伏線が張られていて、感のいい人ならわかる構造になっているということである。

ただ、残念なのは、結末に至るための、見崎鳴のあることが、他の作品(ネタバレ反転:「心霊探偵八雲」神永学)と似ているところだろう。そういえば、綾辻さんの某作品(ネタバレ反転:「十角館殺人事件」のトリックが、某有名作家の作品(ネタバレ反転:筒井康隆「ロートレック荘事件」)のトリックと、偶然にも似てしまったことを思い出した。

これで、全話録画してある、アニメがやっと見られる。

Official HP 

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2012年4月15日 (日)

花のズボラ飯 / 水沢 悦子・久住 昌之

花のズボラ飯

原作:久住 昌之
作画:水沢 悦子
価格:9450円
出版社: 秋田書店 (2010/12)

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単身赴任の夫を持つ主婦、駒沢花(こまざわ・はな)、30歳。花は今日も自分のためだけに、ズボラだけど美味しいご飯を作ります!

 絶対に、この漫画は狙っていると思います。まずは、花がが食事しているシーンを見てもらいましょう。

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どうですか、食事のシーンだとわからなければ、絶対に、あのシーンに見えてしまいませんか。とにかく"エロい"。ただ単に食事しているだけなのに、非常に"エロい"。「グルメ本」としてみれば、まったく役に立たない本です。手を抜いた、普通の飯を食らっているだけの漫画です。「空腹こそ、最高の調味料」、「思いっきりお腹がすいているときに、飯を食ったときの快感」、「食」も「性」と同じ欲望の対象であると考えると、この漫画、実に良く出来ています。この漫画のテーマは「レシピ」ではなく、「食の快感」です。
単身赴任の夫に、振り回されている花。夫のいない間に、「食事によって」快感を得ているなんて、、、この漫画、男性誌ではなく、婦人向けマンガ誌に連載されていることも、うなずけます。

しかし、この絵と題名で、本を手に取り、読んだ後、不快に感じた人もいるでしょう。「王様のブランチ」でも、グルメ本として紹介していたような記憶があります。

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2012年4月14日 (土)

永遠の0 / 百田 尚樹

永遠の0

作者:百田 尚樹
価格:920円
出版社: 講談社文庫 (2009/07)

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大泣きではなく、ほろほろと、頬に涙が落ちました。どこの場面が泣けたという箇所は特定できません。
最後の章は特に泣けましたが、読んでいる途中、何気ない場面でも泣けました。

「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる―。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。

歴史は変えることが出来ません。ガタルカナルも、サイパンも、沖縄も、全ての場所で日本が敗北することは歴史的事実です。しかし、それを知っているのは、今の我々だけです。あの時、その場所にいた兵士たちには、どれだけの敵がいるのか、飛行機がどれだけの威力を持っているのか、レーダーの能力なんかまったく知る由もありません。めちゃくちゃな攻撃で、次々と日本兵が死んでで行きました。「無謀な作戦だった」「軍の上層部が戦地を知らなかった」。そんなことも、後付です。あの時代、あそこにいた兵士たちは情報もなく、ただ駒のように使われていただけなのですから。

本の中で、新聞記者の大谷が言います。「特攻はテロと同じだと考えます」。3.11が起こった後、貿易センタービルに飛び込んだ飛行機をメディアは(特に外国のメディアは)、「カミカゼ」と呼びました。でも、まったく違います。特攻隊として志願した兵士たちは、狂信者ではありませんでした。洗脳されていたのでもありません。ただ、普通の、あのころの日本の若者でした。

「一番の夢は?」と訊かれ、「生きて家族の元に帰ることです。」と答えた宮部久蔵。それが、今を生きる私たちにとっても一番大切なことなんだと思います。

ともかく、必読です。

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2012年3月31日 (土)

怪談実話系7 / 『幽』編集部・編

怪談実話系7

編:『幽』編集部
価格:580円
出版社: MF文庫 (2012/02)

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収録作:高野秀行『神隠し』/恒川光太郎『布団窟』/勝山海百合『くるみ、くるめ』/朱野帰子『必ず参上』/伊藤三巳華『怪談ラブレター』/黒木あるじ『椎名葉草・続 ~幕末の絵師・村下成安の日記より~』/安曇潤平『境界線』/松村進吉『うつろのぬくもり』/黒 史郎『贖罪時計』 / 岩井志麻子『みなさん「あの女」が大好きなんですね』/東 雅夫『平地人を戦慄せしめよ-遠野物語の血脈』

7冊目にもなると、何か新しい試みがないと面白くない。この本では、ノンフィクションライターで、今、辺境を語らせたら1番の高野秀行『神隠し』だろう。高野さんの作品は、いまだに辺境で語られている"神隠し"について。編者の東雅夫さんも書いているが、それは"遠野物語"にも通じるところがあると思う。あぁ、日本も昔はこうだったんだろうなという気がする。ただ、これ1篇だけが目新しく、後の作品は、面白くないとは言わないが新しい驚きが無い。

岩井志麻子の、「あの女」って、今話題の「あの女」なのだろうか?どうしても重なってしまう。

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2012年3月30日 (金)

エスター

エスター Orphan

監督:ジャウム・コレット=セラ
原案:アレックス・メイス
脚本:デヴィッド・レスリー・ジョンソン
出演:ヴェラ・ファーミガ / ピーター・サースガード / イザベル・ファーマン/ CCH・パウンダー / ジミー・ベネット / アリアーナ・エンジニア
(2009年)

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TSUTAYAでビデオを借りようと思ったら、「5本で1,000円」のキャンペーンを行っていた。4本は、あっさりと決まったのであるが、最後の1本が決まらない。近頃、映画情報には疎いので、何が面白いのかわからなかったので、「ジャケ借り」したのが、この1本。前情報は、一切なし。"Orphan"の意味は"孤児"。

赤ん坊を死産した夫婦は、エスターという一人の少女を養子に迎え入れた。しかし引き取ったその後、エスターの本性に気付き始めた妻のケイトは夫のジョンたちにそれを知らせようとするが、彼女の警告は聞き入れられないまま時間が過ぎていく…。出演はベラ・ファーミガ、ピーター・サースガードほか。ジャウム・コレット=セラ監督が贈る衝撃のサイコスリラー

(最初に書いておくと、この手の映画は、一切情報をいれずに見たほうが楽しめる。1回見た後で、気に入ったのならば、いろいろ解説を読みもう一度愉しむのが良いと思う。)

感のいい人だったら、動機を除いて"ネタ"ははじめから大わかったと思う(最後まで、動機だけは曖昧)。それでも、見入ってしまったのは、エスター(イザベル・ファーマン)の不気味さからだろう。イザベル・ファーマンの12歳でのこの演技(設定は9歳)はすごい。妹のマックス(アリアーナ・エンジニア )のあどけなさが、エスターの怖さを一層引き立てている。怖いのだけれど、ちょっとはエスターに同情してしまうのも、イザベル・ファーマンのかわいさからだろう。それに対して、男性陣のなんて"へたれ"なこと!少女といえど、男は女性に振り回されて終わるのだろう。

怖さを増そうと、「ショッカー」な場面を入れているが、本筋とはまったく関係ない。いらなかったんじゃないのかと思う。エスターが、あんなことやこんなことを、かわいい顔して淡々と行うところを見るだけで、怖い。

あまりにポスターが怖いので、実際のイザベル・ファーマンのかわいい写真を載せておく。

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2012年3月29日 (木)

キャリー

キャリー Carrie

監督 ブライアン・デ・パルマ Brian De Palma
脚本 ローレンス・D・コーエン
原作 スティーブン・キング Stephen King
出演 シシー・スペイセク / パイパー・ローリー / ナンシー・アレン / ウィリアム・カット / エイミー・アーヴィング / ジョン・トラヴォルタ / ベティ・バックリー / シドニー・ラシック
(1977年)

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高校生のとき、一人で映画館で見た。あれから、40年あまり、テレビやビデオを数回見たことはあるだろうが、じっくり見るのは久しぶり。
まるっきり青春映画の部分(高校教師の体育の罰則シーンで流れるコミカルな音楽、ジョン・トラヴォルタとナンシー・アレンのドライブでの警官のシーン)と、ホラーな部分がうまく融合していないようで、絶妙なバランスを保っている。そういえば、デ・パルマ監督は『ファントム・イン・パラダイス』でも、ホラーとコメディを融合していたこと思いだす。それこそ、楳図かずおのホラーとコメディイのような感じ。

今見ると、一番大掛かりなプロムの惨劇の部分は、かなり、低予算なところを、画面割りでごまかしている感じ。
デ・パルマ監督の真骨頂、「カメラぐるぐる回し」と「超スローモーション」。あのころは、ヒッチコックの再来ともてはやされていたような記憶がある。

シシー・スペイセクは不思議な女優。そばかすだらけで、貧相な体格なのに、美しく見える。それも、撮影当時の実年齢が28歳だというから驚き。特典映像を見ると、撮影時点で、もう結婚もしていた!とても、そう見えない。

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単純に考えれば、超能力をもつ少女の悲劇であるが、そこに、キリスト教原理主義(福音主義者)をからめたのが肝。
「ジーザス・キャンプ」を思い出した。まだまだ、危険な種は蒔かれている。

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